ウんには、いつも、ありがたいと思ってる。……でも僕は時々、自分が絵かきになったのは間違っていたんじゃないかと思うことがある。もう、よしちまおうかと思うことがあるんだ。実際、人に厄介をかけるだけだ。こうしていると。……しかし、よせない。絵を描かないではいられない。人から誰一人、認められなくても――
タン 認められないなんて、そんなことはありませんよ。現にロートレックさんもベルナールさんもモリソウさんも、あなたの絵を認めています。たった今さっきも、この絵を、モリソウの奥さんなど、綺麗だって、そりゃあなた――
ヴィン モリソウさんは、ありゃ君、絵は描くが、結局は金持の奥さんで、僕らの行き方とは違う。それから、ロートレックやベルナールが、そう言ってくれるのは、友達だから、同情すると言うか、憐んで褒めてくれてるのかも知れない。
タン そりゃ、疑い深か過ぎると言うもんですよ。じゃゴーガンさんは、どうです? ゴーガンさんは、あなたの来る前には、この絵をえらく褒めていましたよ?
ヴィン ゴーガンが褒めた? ホントかね? 何と言って?
タン よく憶えてはいませんが、ゴタゴタして下手な所もあるが、しかし、
前へ
次へ
全190ページ中121ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング