Kン。君は僕の先輩だ。すぐれた画家だ。頼りにしている僕は。ね、わかってくれ、僕が実在だと言うのは、この、つまり、タンギイならタンギイの、こう描いてある着物の下にだな――いや、僕でも良い。この、この着物の下に――(と、せき込んで言っている内に気がいらって、いきなりナッパ服を脱いでしまう。下には襟なしのシャツだけ)こうして、身体がチャンと在る。こ、これが人間だ。ヴィンセント・ヴァン・ゴッホだ。これが実在なんだ。(ズボンまでぬいでしまう。滑稽なズボンした)ね! ね! それを画家は描かなきゃならないんだ。表面の着物だけでなくだ、色だけでなく――それを僕は――わかってくれゴーガン。頼むから!(ゴーガンの膝に取りついて、何度も頭を下げる)
ゴー 僕は君に忠告する。そこをどきたまい。そして、もう少し落ち着きたまい。
ロート (笑って歩き出しながら)さあ、もう行くぜ。
ヴィン ま、待って、トゥールズ! ベルナール! どうか頼むから――(と、そちらへ向ってもお辞儀をする)
ゴー うるさい。……(すがりついて来るヴィンセントを、いきなり軽々とひっかかえて、わきの売台の上にヒョイとのせ、サッサと出て行く。ゴ
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