竭閧ェある。それに気がついて僕は――
ゴー 物自体なんてないね。イマジナシォンが在るきりだよ。画家は自分のイマージュで、自分の中に在る絵を描くんだ。また、人間にはそれしきゃ出来んよ。
ヴィン ちがう! ちがうよ、ポール! 聞いてくれ、それは――
ロート (ベルトやシニャックやベルナールなどとともに店を出て行きかけながら)物の実在なんてないぞヴィンセント。人が在ると思っているきりだ。在るのは夢だけだよ。幻だけだよ。君が実在していると思っているのは、君がそう思っているだけだ。フフ、もういいじゃないか、そんなこと。いっしょにタンブランへ行って、飲もう。
ヴィン いや僕は行けない。これから、タンギイを描かなきゃならん。だから、ま、ま、ちょっと、みんな待ってくれ。ね、ゴーガン、僕の言うことをわかってくれ。その――
ゴー わかったよ。君はただ混乱しているだけだよ。忠告して置くが、そんな調子だとロクなことはない。現に、その絵だ。(と「タンギイ像」を指し)絵として悪くはない。しかし、よく見るとメチャメチャだ。トーンがない。アルモニイがない。統一が欠けている。それは君が、グラグラとセンチメンタルにばかり
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