ネたも絵をお描きになるんだ。そんなら、わかって下さるでしょう。画家には色よりもデッサンの方が大事です。こんな風にしてですね、足をふん張って、こうしていれば――
ゴー もうやめないか、ヴィンセント君!
ヴィン ああ、ゴーガン君? 君もいたんですか。
ゴー もうよしたまいよ。相変らずの旅団長だなあ。
ヴィン うん。……(ゴーガンを見ているうちに、燃えていた火に水をかけられたように、不意に静かになってしまう)しかし……(言葉を切って、落ち物がしたようにそのへんを見まわす。その間にベルナールが、ヴィンセントのカンバスを正面の壁に立てかける。ほとんど完成している「セイヌ河岸」。……一同が自然にそれを見守ることになる……)
ベル ……まあ、綺麗!
ロート ……うん、悪くない。だけど、空が、君の空じゃないな。この頃ルノアールでも見たんじゃないかね?
ヴィン そ、そんな、トゥールズ――
ゴー ルノアールは、年中自然と野合してイチャついてるよ。だが、ルノアールもルノアールだが、ここん所の(絵を指して)木や土手なぞの点描が気になる。スーラをこんなに受入れるのは無邪気すぎる。川の水は、シニャック、君じゃない
前へ
次へ
全190ページ中111ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング