に、こんで、出刃ぼうちよう持つてでも刃むかわずにやいられめえ。
次郎 そんだら、もうそうなつたら、手おくれだねえか! 殺されるだけだ。
りき 手おくれでも、しよう無えよ。まだしも人を殺すよか、人から殺される方がええぞ。殺される方が手おくれならば、殺す方は、もつと手おくれだらず? 地獄に落ちつぱなしになるだけだ、そんな奴あ。かんじんの事は、人を殺すのは悪いという事だ。だらず? 悪い事あ、しちやならねえ! 悪い事あ、しちやならねえ! 悪い事あしちやならねえつ!
サダ なんとまあ、大きな声よ。耳が、ガン/\いわあ!
りき はは! 俺にわかることは、そんだけだ。バカだから、その余の事あ、知らねえ。賢い衆が、余の事あ、うまくやつて欲しい。悪い事あ、しちやならねえ! (わらじをはき終つた両足でドンドンと土間をふみこころみる)喜十よ、さあ行くべし!
喜十 へい!
サダ はは、はは!
せん ふふ!
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(一同が、軽く笑いながら、出て行く人たちが立つて歩き出す気配。どこかで、けたたましいモズの声)
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底本:「破れわらじ」ラジオ・ドラマ新書2、宝文館
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