らがはいて行かあ。
サダ へえ、どこさ行くの?
りき 海の口まで、ちよつくら行つてくら。
森山 へい、するつうと――?
りき お前さまがたといつしよに行つて、喜十の言うのが本当かどうか見てみやんしよう。都合で須山のおだんなや芹沢の金五郎と逢つて見べえ。
森山 そうでやすか! そうお願いできれば、もうへえ、ばさまに乗り出していただければ、イサもクサも無え、事は片づきやす。こいつは、ありがてえ!
喜十 ばさま、俺あ、へえ、なんにも言わねえ。こん通りだ!
りき へん、礼を言うなあ、まだ早えや。まだ誰もおのしの身方すると言つちやいねえ。行つて見て、もしおのしがまちがつていたら、おのしをやつつけてやるから、そう思え!
喜十 けつこうでやす。ひやあ、ありがてえ!
りき もし先方がまちがつていたら、先方をやつけてやらず。ははは、そいつは冗談だ。つまりはこの白髪頭ヘコ/\さげて頼んで廻るだけの事だあ。
次郎 俺もいつしよに附いて行かあ!
新一 俺も行く。
りき よせ/\、お前だちは川上からまつ直ぐに家さ帰れ。
せん んだけど、ばさま、そつたら足元から鳥が立つように急がずとも――
りき なに、こんな事あ
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