ちがいやす。あんまりシツツコク、忘れねえで俺のことイジメるから――
りき ちがう! アベコベだ。忘れねえのはお前の方だ。お前が、うらめしいうらめしいと思つて忘れねえから、先方も忘れねえだ。
次郎 だども、そんじや、おじさんの方は、どんなひどい目に逢つてても、イジメられつぱなしになつていなきやならねえのかい?
りき まあ/\、俺に委せておけ。
新一 村八分なんていう、そんな封建的な事、間ちがつてるよ!
りき はは、そつたら理屈言つても、俺にわかるもんかよ。ただなあ、人間早まつちやならねえ。喜十はイジメられてるイジメられてると言うが、その喜十や森山さんの言う事嘘たあ思わねえが、話ばようく聞いていると、そん中でホントにあつた現なまの事というと、水口がへずられるという事一つきりだ。だらず? 配給を抜かされることも、祭りの寄附のことも、附き合いはずれの事も、そのほか、みんな、その時々の話の行きちがいかも知れねえし、こつちの思い過しかも知れねえ。すべてアヤフヤなこんだ。事がグレハマになる時は、そうた事が次ぎ/\と起きるもんだ。それをこつちが、年中いじめられるいじめられると思う気があるもんで、一つ
前へ
次へ
全34ページ中25ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング