も次郎も同じこんだ。どつちもおらの孫だけあつてバカスケだ。
森山 んだけんど、なんでやすよ、こんな若いしたちにして見りや、こんだ又戦争にでもなりや直接自分たちが引つぱり出されるんじやから、軍備問題ではムキにもなる道理でやすねえ。
りき さようさ、困つたもんだ。……(寂しそうなシヤガレた声で)次郎、そんでお前がおらに相談に来たつうのは、そいつたような気持で東京さ行きたいというのかえ?
次郎 ……うん、家に居ても、この先、しようねえから――
りき そうか。……

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(永い間。……シーンとした中に火じろの火のはぜる音と、柱時計のカツ、カツ、カツと刻む音)
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りき ……喜十よ、お前がなあ、村八分になりかかつとるについては、お前の方からは金五郎にも村の衆にも悪い事はなんにもしなかつただな?
喜十 こんりんざい、俺の方で悪い事はしたおぼえ無えです。
りき お前は馬鹿正直の善《え》え人間だ。そりや俺が知つとる。だどもどんな善え人間でも自分じや気が附かねえで、人の気い悪くするような事するもんだ。
森山 だけん
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