、もしかすると、あの男を使って、ひと芝居打とうと思ってるんじゃないかね?
男3 なんだって? ……(ジロジロと男2を見る)へえ、そうかね? いかにも、ヘヘ、院外団くずれのヤマシらしい事をいうねえ?
男2 ヤマシと! なにを、きさま――
男3 言葉が過ぎたら、ごめんよ。ヘヘ、だって、此処にこうして、くらいこんでいりゃ、いずれ、そんなにマットウな事あ、お互いにしていねえのは、いねえんだからね。でしょう?
男2 今にわかる。自分はただ、この戦争に負けちゃならんと、しんからこの、憂慮してだ、自分の信念にもとづいて、多少の鉄材を動かそうとした。それが、たまたま――
男4 ヘヘヘ、ひっかかったんですよねえ。ヘヘ、だいたい、まあ、そんなもんでしょう。いいじゃありませんか。(ねぼけたような調子で、ブツブツいう)なんでもいいよ、スリだろうとヤマシだろうとアカだろうと、此処にくれば、おしまいでしょうよ。そんなムクれることあないでしょう。みんな、自分のしたい事をして、そんでつかまるなり、手をおっぺしょられるなり、べつに、だから、そううらむ事はないじゃないですか。いくらジタバタしたって、人間だれしも、しまいに
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