では、この――いえ、あの、友吉の本を読みますと、あのカンジという人が、あの、サチャグラハと申しましてね、やっぱり、それがあの、同じ事でございましてね、スワラジという事も、エスさまが、あの、一番最後にお弟子さんがたの足を洗いなすった、あれです。みればせかいがだんだんと、もっこ[#「もっこ」は底本では「もつこ」]にのうて、ひのきしん!
俊子 (片手を出して、母の膝をなでてやりながら)お母さん、お母さん! いいから。わかったから。そうよ、信じますよ。信じてよ、お母さん。
リク だからさ、友吉は正しいのだよ。それを私は――
俊子 そうよ、友兄さんは正しいのよ。だから、お母さん、そんなになに[#「なに」に傍点]しないで――
義一 うむ。……(時計をいじっていたのが、不意に机の上の時計の道具をガシャンと押しつぶして、立ちあがり、ブツブツいう)……そうさ、あれで友吉は、まちがってはいないのかも知れん。……
俊子 なあに、お父さん? ……(義一それには答えず、ゲタを突っかけてスタスタと左手の傾斜をのぼって行き、見えなくなる。それを見送っている北村)
リク それをですね、この町会では、友吉みたいな非国民
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