うと思うんだ。どうだね?
人見 はあ。……
宗定 こう度々ブーブーとやられてる最中にだな、ムダな事をいつまでも繰り返していても、しかたがない。本庁の方も、ますます忙がしくなってるしね、今までのように僕などが出向いて来ることもできにくくなるんだ、今後は。だからねえ、もういいかげんにして、取りあつかいを軍の方へ返すなり、軍の方でウンといわなければ、しかたがないから、こっちで書類を検事局の方へまわそうと思うんだ。聞いて見たら、向うでも迷惑がっているようだったが、さればといって、どうにもしかたがないからねえ。どうだい?
人見 ……すると、なんでございましょうか、この正式に、この――?
宗定 そいで刑務所だね。しかし、そうなると、当人もかわいそうだしね、それに、君も、たぶん、そのままじゃすまんことになるだろうし――
人見 え、しますと――?
宗定 うん、まあ、正式のことになると、君がすすめて、この男をこんなふうにしたという事になるだろうからね。国法では、まあ、宗教というものを、そういうものとしては認めとらんのだなあ。教唆という事になる。
人見 わ、私は、しかし、この、そんな……いえ、たしかに、私
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