、……私ども、なによりも先ず、この日本人でありまして――
伴 わかっとる。そりゃ、わかっとるから……ハッキリいってくれても、それでどうこうという事はないから、安心して、ふくぞうなくいってくれたまえ。……つまり、ホンの参考のために聞くだけだからね。
人見 はい。それはもう――
伴 必ずしも、そいつが天国といったようなものでなく、現にこうしている実際の世の中であるという考えかた……信仰……も有り得るわけだろ?
人見 はい。まあ、それは有り得るには得ますけれど、それにしても、その点ハッキリなに[#「なに」に傍点]しているのは、すくないと思いますが――信仰上のことはバグゼンとした事が多うございまして――つまり、そういう考えにしましても、なんです、この、私どもの、信仰と努力によりまして、この世の中をすこしでも神の国に近いものにしたいという願い、希望……そんなものじゃないだろうかと――しかし、その、わが国がです、今、こうしてなに[#「なに」に傍点]しているのでございますから、それはそれとしてです、私ども――
伴 よろしい。……そこでだねえ、いや、ええと、君たちの方には、掟《おきて》が有ったね? つ
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