も、友吉さんに限った事はないんでしょう[#「ないんでしょう」は底本では「ないんでしよう」]? ……キリスト教の人は、いっぱい居るんでしょ?……それが、どうして、たった[#「たった」は底本では「たつた」]一人、よりによってさ……ああ、ヤッと行っちまやがった、鬼ババめ。……(手は休めないままで、治子の方をチョット見て)現に、あんただってキリスト教でしょ? ――そいから、あんたのお兄さんもそうでしょ? どういうの、ねえ、どうして、友吉ていう人だけが、そんなかしら?
治子 ……わからないの。……私には、わからないの。
静代 ……いえさ、だから、ヤソ教として、どっちが正しいの? ……あの人? それとも、ほかの人たち?
治子 ……わからないの、私には。――だけど……いえ……でも、あの人は、まちがってはいない。
静代 ……そいじゃ、あんた、わけがわからない。……だって[#「だって」は底本では「だつて」]、あの人が善いのだったら、ほかの人がまちがってるわけだし、……ほかの人が正しいのだったら、あの人はまちがってるんだわ。……キリスト教の教えは、そんな、キチガイの宗教じゃないんでしょ? そんなら、それを
前へ
次へ
全180ページ中31ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング