過して行く列車。非常に長い列車で、音はほとんどしんぼうしきれないくらいに長くつづく……。

 或るガードの下。
 冬のあけがた。ガード下の道路には、まだ人通りなし。カゲになった所は、まだほの暗く、それに、つめたいモヤが立ちこめていて、見通しがきかぬ。ガードの右側の、高架線路の下はズーッと、きたない荒れ果てた倉庫になっている。ガードの下の一番てまえにトラックが一台、なにも乗っていない後部をこちらに向けて置いてある。高架線路の鉄の橋ゲタの一部とトラックの左側の側板だけを、のぼりかけた朝日の光が、うっすりと照らしている。武装した警官が一人、トラックのわきに動かず無表情に立って、右がわの倉庫になった奥を見ている。その他には誰も居ない。――やっと高架線路を列車の音が通り過ぎる。……どこかで、工場の時報のサイレンが鳴る。……やがて男Aと男Bが、右がわの倉庫の前の、せまい路からノソノソ出て来る。二人とも、おそろしくよごれたカーキ色の服に、藁くずのようなものを方々にくっつけたまま。それでも、男Aは、からだに合わない古オーバを着ている。二人とも、トラックの方へ歩いて来る。
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