、やめてください。僕は、ホントに、お願いします。この――(両手を強くにぎりしめて、いっしょうけんめいにいっているうちに、すこしシドロモドロになって来る)
人見 (自分でも排除しきれない友吉に対する根深い反撥を、つとめて押しかくしながら)君のいう事は、一つの考えとしては正しい。戦争中と同じだ。あの頃とすこしも変って来ていない。……チットも成長していないんだ。ひとつおぼえ……つまり、それは、考えとして正しいかなんか知らんが……実際の、実行上の智恵としては、まるで力がないのじゃないだろうか?
友吉 ええ……僕はボンヤリですから、この――
人見 つまり、そんな事をいっても、誰がそれを実行できるだろう?
友吉 ……あの、僕は、実行できるんですけど――
人見 そりゃ、そりゃまあ、君は実行できる人だ。現に出来たんだから、しかし君のような人は、千人中、万人中、いや千万人の中に一人いるかいないか――とにかく、たいがいの人には実行できない。
友吉 いえ、あの――ほかの人も、僕のようにすればいいんです。(自分がいかに権威ある恐ろしい言葉をしゃべっているかに全く気附かず、ただ子供らしく、額に汗を浮べながら)…
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