んけれど、日本は、ホントは日本に負けたのではないでしょうか? ……いえ、つまり、世の中の、なんです、ヨーロッパもアメリカも日本も、そのほかの国の人々みんなをつないでいる――もっと大きな、なんといいますか、つまり、もっと大きなものに負けたんではないでしょうか? 僕にはうまくいえません。
木山 (熱心にはげますように)いや、わかります。わかります。
友吉 日本にだって、良いものはあります。その、今いった、もっと大きなものは有るのです。それに負けたのです、悪い日本が。……しかし――しかし、同時にです、連合国が勝ったのも、完全に勝ったといえるでしょうか?……いえ、うまくいえませんけど、つまり、猫が鼠を取って食うのと同じような勝利だといえるでしょうか? いえないと思います、僕は。……失敬ですけど、連合国の方でも、それぞれ、今度の戦争では、かなりひどいテキズを受けたのだと思うんです。今の戦争で完全な勝ちということは、もう、ないと思うんです。自分のうちに有るものを、いくらか殺さなければ、ほかのものを殺すことはできないんじゃないでしょうか? つまり、人を殺すためには、自分の中の、大事なものも、いくらか
前へ 次へ
全180ページ中163ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング