みすぼらしいナリに、頭髪をおさげにし、眼は普通に開いたまま、ごく僅かしか見えない。右手に大事そうに、大型の置時計を一つさげている。明るい顔付。時々、土くれにけつまづいたりして近づく)
[#ここで字下げ終わり]
友吉 ……(やっと、夢からさめたようになり)あぶないよ、俊子、そらそら!(立って行きかける)
俊子 いいのよ、平気。……(ニコニコして置時計をかざして見せながら)ほら、兄さん!角の隅本さんという内で、なおしてくれって!
治子 ……[#「 ……」は底本では「……」](その俊子の姿を見ているうちに、今までの凍りついた態度がクラリと変って、不意にバラバラと涙をこぼし、次ぎに声を出して泣き出す)……ごらんなさい、友吉さん! ごらんなさい、友吉さん!あなたの神さまは、こうだわ! いいえ、私は、ダンサーだって、いいえ、もっと、もっと、どんな事したって、――俊ちゃんまでを、こんなことさせるくらいなら――(泣く)
俊子 (あがりばなへ来て、びっくりして)……だあれ?
治子 私が働いて――どんな事をしたって働いて、俊ちゃんに、そんなこと、させない。……(ユカに突伏す)
俊子 ……治子さん?治子さん
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