もっといろんな事を話したいと思いましたが、なんです、この、まだカラダが本調子でないもんですから、非常につかれるもんで……(微笑)いや、実は、カラダと言うよりも、正直いって、ホンのしばらく前まで、ほとんど一日中、人と話をするのは、係りの監守やなんかと二言か三言といったような生活をズーッと[#「ズーッと」は底本では「ズーツと」]つづけて来てるもんですから、急にこうして多勢の方に会ってしゃべりますと、気づかれ――というよりもノドがくたびれましてね、ハハ、それに毎日のようにあちこちと引っぱり出されるんで、このところ、太夫、チョとインコウを害しておる(客席に好意的なひかえめな二三の笑い声)――といった所で。実は、この出しぬけにナニして、まだ世間の様子もなんにもわからないボクなどが理窟ばった話をするよりもです、ホントは皆さんのお話を伺うつもりで出席させていただいたわけなんです。場所も近いし、それに、君たちが今度、産業別組合会議に加盟されて、会社当局との間に争議を起そうとしていられるという話を聞きまして、それがどんな様子なのか心配にもなり、ホンのチョットあがって見たら、トタンに委員長から、なにか話を
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