一緒に留守番しべえよ」
スミ「おらも東京さ着いたら、一六さに良い物買つて貰つて送つてやつからな。いいな!」
云々。
荒い竹籠にギユーギユー入れられる豚達。隙が有れば忽ち走り出さうとするので、詰めるのが一仕事だ。――滑稽な騒ぎ。一匹だけはどうしても詰めきれぬので、それはスミが抱いて行く事にする。
○馬車が来る。今日は既に一人先客が有る。馭者「はあ、いよいよ花嫁ごのお立ちかあ!」等々。
馬車の屋根に載せられて、しばり付けられる豚の籠。
彦「頼んだぞう!」
馭「花嫁ごとコロとは、えらい珍な取り合せだのう! えゝか、出るぞう! 落ちねえように縛つときなよ!」
等々。
スミと弟及び小母さんとの別れ。
弟と子豚との別れ。
馬車が動き出す。暫く追ひすがつて来る弟もやがて取残されて、小さくなり、呼びかけながら見送る弟。
○馬車の道中(Cまで)(音楽伴奏)
豚の充満した籠を屋根に載せた滑稽極まる格好の馬車の進行。
馭者の襟足の辺に、籠の目から首を突出した豚の鼻が時々さはるので、馭者はひどく気にしてゐる。しまひに、頭を振り帽子を脱いだ馭者の頭が禿頭。その禿頭を又豚が舐め
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