み屋などに頼んじゃおさいせんを巻き上げられてる暇に、その金で、チョックラ小諸か甲府にでも出かけて、立派なお医者の先生さまに見て貰うて、薬を貰うて来るなり、養生のしかたを教わって来るなりしろ。餅は餅屋だ。お医者さまは病気にかけちゃ玄人だ。一度見て貰って、養生はそれからの事にしろと、あれだけ言ってもきかねえで、へえ、拝み屋だ、仏様のたたりだあ。……馬鹿なこんだあ、うぬがウッカリして歩いていたために、木の根っこに蹴つまずいて[#「蹴つまずいて」は底本では「蹴つまづいて」]、ひっくら返った奴が、ひっくら返ったなあ地めんのたたりだなんと言おうもんなら、人が笑うぞ、じょうぶ[#「じょうぶ」は底本では「じようぶ」]!
青年 ハッハハハ。
女 フフフ……だども、おっかさん、あの気性で、わしなどが、いくら言ってもお医者に行こうとはしねえから――
百姓 よし、俺がよくそう言ってやる。なんなら、俺が連れてってやっから[#「やっから」は底本では「やつから」]……心配しねえで、行きな。
女 へい……そいじゃ……二三日中に岩村田へ行きやすから……そんじゃ――
百姓 二三日なんて言ってねえで、明日行け。メソメソしね
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