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   四日[#地から3字上げ]金之助
     虚子先生
      ○
明治四十一年七月十一日(封書)
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拝復 御ふささんは異存はなかろうと愚妻が申します。然し松根がもらいたいのですかあなたが御周旋になるのですか伺ってくれと申します。
 御ふささんは妻のイトコです。貧乏です。支度も何もありません。以上。
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   七月十一日[#地から3字上げ]金
     虚子様
      ○
明治四十一年七月十二日(封書)
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 又啓《ゆうけい》
 あなたがこの事件で歩を御進めになれば自然松根に直接意見をきく事になります。そうすると公平を保つために私の方でも御房さんにその事を話さなければなりません。即ちあなたの思いつきで松根に向って御房さんをもらわないかと口をかける由と通知するのであります。それで本人が否《いや》だというたら直ぐ無駄な御骨折を御中止を願います。また異存なしと答えたら何分にも御面倒を願いましょう。ただ今愚妻留守につき帰り次第御房さんの考をきかせますから左様御承知を願います。頓首。
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