ふ觸書が出、「町在とも、若異人より音物等相送り候共、一切受申間敷、幼年之者など、何心なく貰ひ受候とも、早々奉行所え可申立、萬一かくし置きあらはるるにおいては――」といふ觸書が出た。
 それでも異人共は日々の生活品を求めて町々を歩き※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]る。異人相手の公許の日本品賣買所である「缺乏所」の商人も異人相手に片言の異人語なり手眞似で通ずることを止めねばならなかつたが、「無筆」のアメリカ「マタロス」どもは、日本字は勿論蘭字も讀めない。「缺乏所之儀、此程御談判之上、町人共と夷人直に引合致さざるため日本字値段之脇之蘭字をも認めさせ、右にて不便之事も有之間敷と取計らはせ候處、マタロスの類ひに至り候ては無筆の者有之、是迄の仕來りを以て、居合せ候町人共へ値を承り候得共、言葉を替せ候儀不相成故、終には憤り、手を振り上、又は口などつねり候――」といふやうなわけで、ここにも通詞が至急必要だと下田取締配下の平山謙次郎から川路へ愬へ出た。
 まつたく長崎通詞は、「長崎の通詞」であることが出來なくなつたばかりでなく、「オランダ語の通詞」であることさへ出來なくなりつつあつた。日本全國
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