秋の かなしみ
わがこころ
そこの そこより
わらひたき
あきの かなしみ
あきくれば
かなしみの
みなも おかしく
かくも なやまし
みみと めと
はなと くち
いちめんに
くすぐる あきのかなしみ
泪《なみだ》
泪《なみだ》、泪《なみだ》
ちららしい
なみだの 出あひがしらに
もの 寂びた
哄《わらひ》 が
ふつと なみだを さらつていつたぞ
石 く れ
石くれを ひろつて
と視、こう視
哭《な》くばかり
ひとつの いしくれを みつめてありし
ややありて
こころ 躍《おど》れり
されど
やがて こころ おどらずなれり
竜 舌 蘭
りゆうぜつらん の
あをじろき はだえに 湧く
きわまりも あらぬ
みづ色の 寂びの ひびき
かなしみの ほのほのごとく
さぶしさのほのほの ごとく
りゆうぜつらんの しづけさは
豁然《かつぜん》たる 大空を 仰《あふ》ぎたちたり
矜持ある 風景
矜持ある 風景
いつしらず
わが こころに 住む
浪《らう》、浪、浪 として しづかなり
静寂は怒る
静 寂 は 怒 る、
みよ、蒼穹の 怒《いきどほ》
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