の 舞殿《まひでん》にゆかをならして そでをふる
白衣《びやくえ》の 神女《みこ》は くちびるが 紅《あか》い
咲 く 心
うれしきは
こころ 咲きいづる日なり
秋、山にむかひて うれひあれば
わがこころ 花と咲くなり
劔《つるぎ》を持つ者
つるぎを もつものが ゐる、
とつぜん、わたしは わたしのまわりに
そのものを するどく 感ずる
つるぎは しづかであり
つるぎを もつ人《ひと》は しづかである
すべて ほのほのごとく しづかである
やるか!?
なんどき 斬りこんでくるかわからぬのだ
壺《つぼ》のような日
壺のような日 こんな日
宇宙の こころは
彫《きざ》みたい!といふ 衝動にもだへたであらう
こんな 日
「かすかに ほそい声」の主《ぬし》は
光を 暗を そして また
きざみぬしみづからに似た こころを
しづかに つよく きざんだにちがひあるまい、
けふは また なんといふ
壺のような 日なんだらう
つかれたる 心
あかき 霜月の葉を
窓よりみる日 旅を おもふ
かくのごときは じつに心おごれるに似たれど
まことは
こころ あまりにも つかれたる
前へ
次へ
全21ページ中4ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
八木 重吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング