Vをあやします。

――私は学生よろしくの身装《みなり》くづした態《ざま》なんです、
緑々《あを/\》としたマロニヱの、下にははしこい娘達、
彼女等私をよく知つてゐて、笑つて振向いたりします
その眼付にはいやらしい、要素も相当あるのです。

私は黙つてゐるのです。私はジツと眺めてる
髪束《かみたば》が風情をあたへる彼女等の、白《しろ》い頸《うなじ》。
彼女等の、胴衣と華車《ちやち》な装飾《かざり》の下には、
肩の曲線《カーブ》に打つづく聖《(きよ)》らの背中があるのです。

彼女等の靴も私はよく見ます、靴下だつてよく見ます。
扨美しい熱もゆる、全身像を更めて、私は胸に描きます。
彼女等私を嗤ひます、そして低声《(こごゑ)》で話し合ふ。
すると私は唇に、寄せ来る接唇《ベーゼ》を感じます。
[#地付き]〔一八七〇、八月〕
[#改ページ]

 喜劇・三度の接唇


彼女はひどく略装だつた、
無鉄砲な大木は
窓の硝子に葉や枝をぶツつけてゐた。
意地悪さうに、乱暴に。

私の大きい椅子に坐つて、
半裸の彼女は、手を組んでゐた。
床《ゆか》の上では嬉しげに
小さな足が顫へてゐた。

私は視てゐた、
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