sまアる》い面《つら》に
   接唇とくらア、

椅子の端ツこに黒くて赤《あけ》エ
   恐ろし頭した
婆々《ばばあ》はゐてサ、燠《(おき)》の前でヨ
   糸紡ぐ――

なんといろいろ見れるぢやねエかヨ、
   この荒家《あばらや》の中ときた日にヤ、
焚火が明《あか》アく、うすみつともねエ
   窓の硝子を照らす時!

紫丁香花《むらさきはしどい》咲いてる中の
   こざつぱりした住居ぢや住居
中ぢや騒ぎぢや
   愉快な騒ぎ……

来なよ、来なつてば、愛してやらあ、
   わるかあるめエ
来なツたら来なよ、来せエしたらだ……

      彼女曰く――

だつて職業《しごと》はどうなンの?
[#地付き]〔一五、八、一八七〇〕
[#改ページ]

 音楽堂にて


[#地付き]シャルル※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]ル・ガアルの広場

貧弱な芝地になつてる広場の上に、
木も花も、何もかもこぢんまりした辻公園に、
暑さにうだつた市民たち、毎木曜日の夕べになると、
恋々と、愚鈍を提げて集つて来る。

軍楽隊は、その中央で、
ファイフのワルツの演奏中、頻りに軍帽《あたま》を振つてゐる。

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