祈って、それこのとおり聖餅《プロスヴィラ》を頂いて来てやったという次第なのさ。』
 僕は、もう一ぺん舅どのを抱擁して、接吻しました。
 ――して、わしの手紙はとどいたかな?』と聞きます。
 ――そりゃもう、とどきましたとも。』
 と僕はこたえて、おもわず大声で笑いだしました。
 向うは呆気にとられて、
 ――何がそうおかしいのかな?』と聞きます。
 ――だって、仕様がないじゃありませんか? とっても痛快なんですもの。』
 ――痛快だとな?』
 ――ええ、そうですとも。』
 ――まあいいから、あの真珠を出してごらん。』
 首飾りは、ついそこのテーブルの上に、ケースに納めて置いてありました。僕は出して渡しました。
 ――虫めがねはあるかな?』
 ありません、と僕は答えます。
 ――そんなら、わしが持っている。昔からの習慣で、いつもこうして持って歩いているのさ。さあひとつ、留め金のパチンのところを、とっくり見てごらん。』
 ――見てどうするんです?』
 ――まあいいから、見てごらん。お前さん、ひょっとすると、わしに担がれたとでも思ってやしないかの。』
 ――そんなこと、思ってやしませんよ。』
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