ざしてモスクヴァ街道からやって来た別の一隊と落ち合った。
それは大人数の一隊だったが、色々さまざまな連中がどっさりいる中で、婦人班にすこぶる附きの別品《べっぴん》が二人いた。一人はヤロスラーヴリから来たフィオーナという兵隊の女房で、その大柄な身丈といい、ふさふさした黒い渦まき髪といい、悩ましげな鳶色の眼のうえにさながら何か摩訶ふしぎなヴェールのように濃い睫毛がかぶさっているところといい、実になんとも素晴らしい派手な感じの女だった。もう一人は十七になるきりりとした顔だちの金髪娘で、白い肌にはうっすらとバラ色が射し、口もとは小さく締まり、若々しい両の頬にはエクボがあって、金色に光る亜麻色の捲毛が、囚人用の縞入り頭巾のすきから額へちらちらこぼれかかる、といった風情だった。この娘をその隊ではソネートカと呼んでいた。
美人のフィオーナは、柔和なしまりのない気性の女だった。彼女の隊で、その肌を知らない男はまずいないと言っていいくらいだったが、さて首尾よく彼女をせしめたところで大して恐悦がる男もなければ、彼女が次の男に全く同じ首尾をさせるところを見せつけられても、誰ひとり悲観する者もなかった。
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