ってすかね? 一たい誰が嫁に来てくれるというんです? あっしはご覧のとおりの小者です。まさか旦那のお嬢さんが来てくれるはずもなし、そうかといって、何せ金がないもんであっしども仲間と来た日にゃみんな、ねえカテリーナ・イリヴォーヴナ、奥さんも先刻ご存じのとおり、無教育ものばかりでさあ。そうした家の娘っ子に、ほんとの愛というものを弁えろと言ったところで、どだい無理というもんじゃありませんか! どうです奥さん、これであの連中とお金持との間には、どれほど物の考えように隔たりがあるかということが、お分りでしょうな。早い話が現にあなただっても、こう申しちゃなんですが、じぶんの気持を分ってくれる人間であってくれさえすりゃ、たとえそれがどこのどいつであろうとも、ただもうその男一人に身も心もささげて、明け暮れ慰めもし励ましもしてやろうものをと、そんな気持でいらっしゃるに違いないんだ。ところがどうです、実際はこうしてこの家で、籠の鳥みたいに囲われてらっしゃるじゃありませんか。」
「そう、あたしだって淋しいわ」と、カテリーナ・リヴォーヴナは思わず口をすべらした。
「まったくこんな暮らしじゃ、奥さん、淋しがるな
前へ 次へ
全124ページ中18ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
レスコーフ ニコライ・セミョーノヴィチ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング