い波を。前へ押したり後ろへ引いたりしている。
全身ぬれ鼠になって、ふるえあがった囚人の一隊は、のろのろと渡し場にたどりついてそこで停止して渡し船を待った。
これもずぶ濡れの黒い渡し船がやって来た。乗組員の案内で、囚人たちが乗りこみはじめる。
「なんでもこの渡し船にや、誰かヴォートカをこっそり売ってくれる奴がいるって話しだぜ」と、ある男囚が言いだしたのは、大きなぼた雪がさかんに降りかかる渡し船が岸をはなれて、そろそろ荒れだした河の面に立つうねりのまにまに、揺れはじめた頃だった。
「そうさな、さしずめこんな時こそ、ちょいと一杯やるなあ悪くあるめえな」とセルゲイは応じて、ソネートカの御機嫌とりに、カテリーナ・リヴォーヴナをいじめる手をゆるめず、――「どうだい、おかみさん、昔のよしみに免じて、一ぺえ買っちゃあ貰えまいかね。まあそう吝《しみ》ったれるなってことよ。昔やそれでも、おれの色じゃねえか。おたがい大あつあつだった頃にや、仲よく遊び※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]りもしたし、秋の夜長をしんみり語り明かしたこともあるじゃねえか。お前さんの身うちの誰かれを、お寺さんの厄介にならず
前へ
次へ
全124ページ中119ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
レスコーフ ニコライ・セミョーノヴィチ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング