量のものがあった。彼女は無我夢中で前へつき進んで、とっさに抱きとめたフィオーナの胸へ、おなじく無我夢中で倒れかかった。
 そのむっちりとした胸は、ついこのあいだカテリーナ・リヴォーヴナの不実な情人に、みだらな歓楽を満喫させたものに違いなかったが、今や彼女はほかならぬその胸の上で、じぶんのやるせない歎きを、泣いて泣いて泣きつくそうというのである。まるで母親にすがる子どものように、愚かなだらけきった恋仇にぴったり抱きついているのである。今ではもう二人は同格だった。二人とも同じ捨値をつけられて、あっさり抛りだされたのだ。
 二人は同格なのだ!……行きあたりばったりに身をまかせるフィオーナと、愛慾の悲劇を身をもって演じつつあるカテリーナ・リヴォーヴナとが!
 とはいえカテリーナ・リヴォーヴナは、もうちっとも口惜しくなかった。すっかり泣ききってしまうと、彼女は石のような無表情な顔になって、木彫り人形さながらの落着きすました物ごしで、点呼に出る支度をはじめた。
 太鼓がタッ・タララッ・タッと鳴ると、営庭へ囚人たちがなだれを打って出てくる。足に鎖のついた者、足に鎖のつかない者。セルゲイもいる、フィオ
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