の生活」「担え銃」「偽牧師」「移民」「黄金時代」と涙と笑いの風刺喜劇は素晴らしいもので、サイレント時代から、トーキーへとの変動期には、絶対トーキー反対の彼も、時代の流れには勝てず「モダン・タイムズ」をへて、「街の灯」には「チチナー」を唱うことになってしまったが、やがてトーキー映画「独裁者」は素晴らしいものであった。
チャップリンとあいまって、ダグラス・フェアバンクスの正喜劇は又絶讃すべきもので、この軽快さと妙味は独創的で、彼の映画を見たあとは、家に帰る時大川をはね飛んだり塀をのりこえたりして怪我をして母にしかられたものである。それほど少年の頃の僕たちに心の奥にいつもチラホラ彼が影をさしていたのである、三銃士のダルタニヤンなぞは、僕は同じ映画を三度も続けて見に行ったくらいの魅力であった。この頃バスター・キートンの笑わぬ喜劇が現れて僕等を又狂喜させた。キートンのペチャンのおかま帽子にキョトンとしたお人好しの姿は、大かっさいであった。「カメラマン」「将軍」なぞ思い出しても笑ってしまう。グロリア・スワソンの「サンセット大通り」にまるで見ちがえるほど年をとった姿をワンカット出演していたのは僕に
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