ーリー・ハウデニーの「人間タンク」、ロス・ローランド主演の「赤い輪」等、まったく絢爛たるものであった。
 同時に僕等少年ファンを嬉ばしたのは、アメリカの喜劇映画であった。キーストン時代といって、米国キーストン会社提供の短編コメデーは、それは素晴らしく楽しいもので、マックス・センネットのもとに、チャールス・チャップリン、チェスター・コンクリン、ファティア・バンクル、アール・セントジョン、フオード・スターリング、マック・スウン、ベン・ターピン、メーベル・ノーマンド等数えきれぬほどの喜劇スターが現れ明朗な奇想天外のギャグには抱腹絶倒したものである。まったく胸のすくような明るい喜劇で、ここに現れる美人軍をセンネット・ガールといって海水着一枚に濃艶な肉体をわずかに包みピチピチしたアメリカ美人軍には、にきび華やかなりし僕にはまるでこの世のものとは思えず、ただ夢心地、今なお女性の姿体美を画きつくすのに浮身をやつしている自分にはこのセンネット・ガールが大なる遠因をなしているのであろう。
 この美しいセンネット・ガールの中からは、マリー・プレボスト[#「マリー・プレボスト」は底本では「マリ・・ブレポスト
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