恐妻家庭円満術
小野佐世男

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【テキスト中に現れる記号について】

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(例)愛するからとか、[#「からとか、」は底本では「からとか 」]
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 女房と旦那という関係は何千万人の中から選ばれた二人なんで、これは仇やおろそかにするわけにいかないとボクは思っている。
 ボクは結婚して三日目に女房になぐられた。いきなり横っ面をポカッとなぐられた。これには理由がありまして、新聞社の学芸部の仲間が宴会をやってくれたんですが、酒を飲んでるうちに夜遅くなった。友達は、
「お前酒が好きなんだから泊ってけ。女房が恐いんだろう」
 という。男の虚栄心というものがありまして、
「恐いものかい! よし泊ってやろう」
 ということになった。その時も友達が、
「あしたの朝おれたちがいってあやまってやるよ」
 と、いったんですが、夜が明けて一しょに来てくれと頼むと、その連中、
「バカだな。とんでもねえ奴だよ。何だってキミはまあ結婚したばっかりでこんなことやったんだ。送ってなんか行けない」
 ボクは一人にされちゃって、こわごわ玄関に入った時に、ヒラヒラと白い
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