幼稚園の先生なの、どーしてもなりたいの、サアー一ぱい、ついで、ちょうだい……」
一息にのみほし、胸をふくらませると、
「幼稚園が駄目なら保姆さんになりたいの、なりたいわ、泣きたくなるくらいなりたいわ私! 舞台に出る前保姆養成所に願書出したの、いつまでたっても返事が来ないのよ。くやしくってくやしくって泣いちゃったわ。あとで聞いたら途中で握りつぶされたの、でも一生死ぬまでになりたいわ。子供ダーイー好き、小野の旦那、あんたお子さんある」
「ウン! 三人いるよ」
「一人くれない」
「やだよ」
「くれなけりゃ、そっと盗んじまうから」
彼女は子供々々と次々盃をさして行くのである。梯子酒というのは知っているが、いすずさんのように子供酒は初めてである。
次に情熱のかたまりのようなマヤ笑さん、襟がはだけて奥の方に丸い乳房が月のように浮かんでいる。
「今日は逃げても駄目、裸にしちまうから」
「おどかすなよ」
「おどかしじゃないわよ、吉例のいけにえだもの……あたしあたし、とても悲しいのよ」
ストリッパーというのは、すぐ泣きたくなったり悲しくなったりするらしい。
「あたし蛇の踊りがしたいの、蛇大好きな
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