はだけたゆかたに白い肌をちらつかせ、一列にならんだ散兵隊、女軍突進さながらに勢いはげしくおそいくる、その迫力にたじたじと、思わず胸をどきつかせ、坐りなおして太ももをしっかりつけて脚もがたがた。
「ネー先生、一ぱいいかが」
と、尾崎士郎旦那の前に坐ったのは、眼をうっとりさせた星ひろ子さん、
「私ねー、人生劇場大好きよ、青成瓢吉みたいな人好きですわ」
案外静かな彼女の様子に尾崎旦那は、やれ安心、僕の前にたおれる如く現れたのは、いすずあけみさんというストリッパー、けむのようにやわらかいパーマの髪をなびかして、グイッと盃を飲みほすと、
「わたし、ストリップ・ガールに見える」
「そうだなアー、そおやって浴衣を着ているところは、お人好しのオモチャ屋のお姉さんといったところかな」
「オホホホ、わたし、とても子供が好きなの、無茶苦茶に好きなの、いつでも道を歩いて子供に会うといっしょに遊びたくなるの。おんぶしている赤ちゃんがいるとあやしちまうの。とてもとても可愛くなってしまって持ってっちまおうかな――と思うのよ。わたしの一番やりたいと思っていることわかる」
「ストリッパーでしょう」
「ちがうちがう、
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