それ一升ビン、それビールだ、酒のさかなだと、まるで華々しく、こちらの方がストリップ劇場グループではないかと最初はまちがえたくらいである。
「キミイー、ほんとかい、この姿は、まるでトラピスト修道院の修学旅行みたいじゃないか、それに洋服の好みも黒やグレーでまるで渋好みじゃないか、一体これは、びっくりするなアー」
 と、まるで約束がちがうように嘆いた。
「ストリップ・ガールというとまるでものすごい女と、思っているのでしょう。大違いですよ、舞台ではあのようにオッパイをはずませたり、おしりを振ったり、そりゃあ、人みしりなんか一かけもありませんが、私生活は想像もつかぬ内気なものですよ、そんりゃそこいらのお嬢さんの方がずーっとものすごいですよ」
 と、森マネージャーの弁解である。
「これでお宅の踊り子さん全部ですか」
「いや、よいところが二、三欠けておりますよ。何にしろこの温泉旅行が無軌道なもので、ついている男が心配ではなさないのですよ、それに一年にたった二回のお休みで、仲間どころか、二人でしん猫をきめこんで価千金というところでしょうなアー。無理もありませんや、十日変りの舞台のあいまに次の御稽古、徹
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