ジャズ狂時代
小野佐世男
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(例)茫然。[#「茫然。」は底本では「茫然」]
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お嬢さんはジャズがお好き
浮風にさそわれて隅田川のボート・レースをながめていたら、
「アラ、小野の旦那、いいところでお会いしましたわ」
お隣りの奥さんが一人娘のポッポちゃんをつれて、途方に暮れた顔。
「このポッポたらしょうがないのですよ、私が猫の手でも借りたいぐらい忙しいというのに、馬鹿々々しいたら、国際のジャズ大会につれて行けっていうんですよ。こんなアプレ娘一人でやれば、何を仕でかすかわからないし、しかたがないのでここまでは来ましたが、どうせ先生は遊んでいるんでしょう。イイエ、いつもブラブラしていらっしゃいますんでしょう。このジャズ娘連れて行ってやって下さいな。ほんとにこまったオッチョコチョイ娘ですよ。ではおたのみしましたわよ、これでも私の一人娘、掌中の珠みたいなものですから、そそっかしくあつかわないでちょうだい、ではよろしくオホホ、これで安心」
チョチョ、ちょっと待って、というひま
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