知つた。
 しかし、御恩は御恩だ。私は、まだ何の御恩返しもしてゐないのを、いつも心苦しく思つてゐる。

 転校の思ひ出はどつちも全く苦い思ひ出だ。
 しかし、この苦い思ひは後々ずゐ分役に立つだらう。
 今迄の、このみぢかい間にも、この苦さのために救はれたことが何度かあるんだから。



底本:「みの 美しいものになら」四季社
   1954(昭和29)年3月30日初版発行
   1954(昭和29)年4月15日再版発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:鈴木厚司
校正:林 幸雄
2008年2月27日作成
青空文庫作成ファイル:
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