んない人ね、両方の眼の真中にあるのよ。だから、どつちでやつたつても、みえるんぢやないの……」私は感心して帰つて来た。そしてとき/″\やつてみる。
夜、お床へ這入つてから、真ッ暗な中でグリ/\をやつた。真暗な中でもタマシヒは見えた。真暗ン中でも見えるんだから、こりや本当だな、私は固くさう信じてしまつた。ハナと一しよに。
「ハナはノーミソの腐つたもの」「タマシヒは眼と眼の真中にある黄色いまるい輪である」と思ひこんでゐた。ところがハナの方を公開したら、大笑ひに笑はれたので、すこぶる自信を失つて、タマシヒの方迄あやしくなつた。
この方はまだ公開してない。あの時のやうに又どうせ笑はれるんだらうと思つて言はなかつた。
今思ふからこそおかしいが、それでも時々眼をつぶつては、グリグリとやつて、昔を思ひ出してゐる。
底本:「みの 美しいものになら」四季社
1954(昭和29)年3月30日初版発行
1954(昭和29)年4月15日再版発行
入力:鈴木厚司
校正:林 幸雄
2008年2月27日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http:
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