域に達せざるを発見せり。昨日新道に於て認められたる事実は、実にこれを証するに余りあるものとす。吾人は遺憾ながら斯の如き事実の早晩現出すべきを予言したる事あり。曩日《なうじつ》一外人ありて帝都に生きたる※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]を携へ来り、新道に於て公衆に示す事とせり。斯の如き有益にして人智開発上|裨補《ひほ》する所ある営業の代表者の来りて、帝都に開店したるを見て、吾人は直ちに賛成の意を表したり。然るに両三日前午後五時頃一人の肥胖漢《ひはんかん》あり。酒気を帯びて新道の店に来り、入場料を払ひて場内に入りしが、突然彼の※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]を飼養しあるブリツキ盤に近づき、傍人《ぼうじん》に一語を交へずして※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]の口内に闖入せり。※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]はその儘彼の人物を口内に置く時は窒息すべきを以て、自営上止むを得ず彼の人物を嚥下《えんげ》せり。然るに彼の氏名未詳の人物は※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3
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