水準1−94−55]の胃中に入りてこゝに住居を卜し、※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]の持主の嘆願を容れず、数多《すうた》の不幸なる家族の悲鳴を省ず、※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]の胃中に滞留せり。警察の力を借りて退去を命ぜんと威嚇するものありしが、該人物は依然聴許せず。※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]の胃中よりは笑声洩れ聞え、又※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]の腹を切開せんと脅迫するに至る。憫むべき※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]は斯の如き長大なる物を呑みたる為め頻に落涙しをれり。我国の古諺《こげん》に曰く。速《まね》かざる客は韃靼人《だつたんじん》よりも忌《い》まると。※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]は縦令《たとへ》落涙すとも、胃中の寄住者を如何《いかん》ともする事能はざるなり。寄住者は永久に退去するを肯《がへん》ぜざるものゝ如し。吾人はこの人物の何故に斯の如き蛮行を敢てしたるかを説明する事能
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