4−55]の旨味《しみ》あるは、既に数年前より外国の料理通の賞賛する所なれば、吾人と雖※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]を食ふ事を排斥すべきにあらず。否、吾人はこの旨味ある新食品の愈々盛んに我国に輸入せられん事を希望して息《や》まざるものなり。古来英国の貴族及び旅人《りよじん》は埃及《エジプト》に於て※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]を捕へて食する事我国人の熊を捕へて食ふと異る事なし。聞く所に依れば、英人は※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]猟の組合を組織して※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]を捕へ、その背肉《はいにく》をビイフステエキの如く調理し、芥《からし》、ソオスを加へ、馬鈴薯《じやがいも》と共に食ふと云ふ。又仏人は彼の有名なるフエルヂナン・レセツプス氏の埃及に入りしより以来※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]を嗜み、英人の背肉を食ふに反して、※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]の短く且太き脚の肉を食ふと云ふ
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