舞姫
森鴎外
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)早《は》や
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)余|一人《ひとり》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「窗/心」、第3水準1−89−54]《まど》に
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)すが/\しく
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
石炭をば早《は》や積み果てつ。中等室の卓《つくゑ》のほとりはいと静にて、熾熱燈《しねつとう》の光の晴れがましきも徒《いたづら》なり。今宵は夜毎にこゝに集ひ来る骨牌《カルタ》仲間も「ホテル」に宿りて、舟に残れるは余|一人《ひとり》のみなれば。
五年前《いつとせまへ》の事なりしが、平生《ひごろ》の望足りて、洋行の官命を蒙《かうむ》り、このセイゴンの港まで来《こ》し頃は、目に見るもの、耳に聞くもの、一つとして新《あらた》ならぬはなく、筆に任せて書き記《しる》しつる紀行文日ごとに幾千言をかなしけむ、当時の新聞
次へ
全39ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
森 鴎外 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング