-74]《うそ》を衝かなかったとは思わない。しかし君は故《ことさ》らに構えて※[#「言+墟のつくり」、第4水準2-88-74]を衝く人ではなかったらしい。※[#「言+墟のつくり」、第4水準2-88-74]のために詞《ことば》を設ける程の面倒をせぬ人であったらしい。私と対座して構えて※[#「言+墟のつくり」、第4水準2-88-74]を衝いて見るが好い。私はすぐに強烈な反感を起す。これは私の本能である。私はこの本能があるので、余り多く人に欺かれない。多数の人を陥れた詐偽師を、私が一見して看破したことは度々ある。
これに反して義務心の闕けた人、amoral な人、世間で当にならぬと云う人でも、私と対座して赤裸々に意志を発表すれば、私は愉快を感ずる。私は年久しくそう云う人と相忤《あいさから》わずに往来したことがある。
さて私は前にも云った通りに、最初から徼幸者を以てF君を待った。しかし君の対話は少しも私に反感を起させたことが無い。君の言語は衝動的である。君の胸臆は明白に私の前に展開せられて時としては無遠慮を極めることがある。Verblueffend に真実を説くことがある。私はいつもそれを
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