識哲学の迷いの三期を書いた。ニイチェの「神は死んだ」も、スチルネルの「神は幽霊だ」を顧みれば、古いと云わなくてはならない。これも超人という結論が違うのである。
芸術も学問も、パアシイ族の因襲の目からは、危険に見えるはずである。なぜというに、どこの国、いつの世でも、新しい道を歩いて行く人の背後には、必ず反動者の群がいて隙を窺《うかが》っている。そしてある機会に起って迫害を加える。ただ口実だけが国により時代によって変る。危険なる洋書もその口実に過ぎないのであった。
* * *
マラバア・ヒルの沈黙の塔の上で、鴉のうたげが酣《たけなわ》である。
[#地から1字上げ](明治四十三年十一月)
底本:「普請中 青年 森鴎外全集2」ちくま文庫、筑摩書房
1995(平成7)年7月24日第1刷発行
底本の親本:「筑摩全集類聚版森鴎外全集」筑摩書房
1971(昭和46)年4月〜9月刊
入力:鈴木修一
校正:mayu
2001年6月19日公開
2006年5月2日修正
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