「ない。
芸術というものの性質がそうしたものであるから、芸術家、殊に天才と言われるような人には実世間で秩序ある生活を営むことの出来ないのが多い。Goethe《ギョオテ》 が小さいながら一国の国務大臣をしていたり、ずっと下って Disraeli《ジスレリイ》 が内閣に立って、帝国主義の政治をしたようなのは例外で、多くは過激な言論をしたり、不検束な挙動をしたりする。George《ジョルジ》 Sand《サンド》 と 〔Euge'ne《ユウジェエヌ》 Sue《シュウ》〕 とが Leroux《ルルウ》 なんぞと一しょになって、共産主義の宣伝をしても、Freiligrath《フライリヒラアト》, Herwegh《ヘルウェク》, Gutzkow《グッコフ》 の三人が Marx《マルクス》 と一しょになって、社会主義の雑誌に物を書いても、文芸史家は作品の価値を害するとは認めない。
学問だって同じ事である。
学問も因襲を破って進んで行く。一国の一時代の風尚に肘《ひじ》を掣《せい》せられていては、学問は死ぬる。
学問の上でも心理学が思量から意志へ、意志から衝動へ、衝動からそれ以下の心的作用へと、次第
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