に火を消し止めた。
 総年寄《そうどしより》今井が火消人足《ひけしにんそく》を指揮して、焼けた材木を取《と》り除《の》けさせた。其下から吉兵衛と云ふ人足が先《ま》づ格之助らしい死骸を引き出した。胸が刺《さ》し貫《つらぬ》いてある。平生歯が出てゐたが、其歯を剥《む》き出してゐる。次に平八郎らしい死骸が出た。これは吭《のど》を突いて俯伏《うつぶ》してゐる。今井は二つの死骸を水で洗はせた。平八郎の首は焼けふくらんで、肩に埋《うづ》まつたやうになつてゐるのを、頭を抱へて引き上げて、面体《めんてい》を見定めた。格之助は創《きず》の様子で、父の手に掛かつて死んだものと察せられた。今井は近所の三宅《みやけ》といふ医者の家から、駕籠《かご》を二|挺《ちやう》出させて、それに死骸を載せた。
 二つの死骸は美吉屋夫婦と共に高原溜《たかはらたまり》へ送られた。道筋には見物人の山を築《きづ》いた。

   十三、二月十九日後の三、評定

 大塩平八郎が陰謀事件の評定《ひやうぢやう》は、六月七日に江戸の評定所《ひやうぢやうしよ》に命ぜられた。大岡|紀伊守忠愛《きいのかみたゞちか》の預つてゐた平山助次郎、大阪から
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