》の猟師《れふし》金助《きんすけ》がそれに引き添ふ。次に大筒《おほづゝ》が二挺と鑓《やり》を持つた雑人《ざふにん》とが行く。次に略《ほゞ》格之助と同じ支度の平八郎が、黒羅紗《くろらしや》の羽織、野袴《のばかま》で行く。茨田《いばらた》と杉山とが鑓《やり》を持つて左右に随ふ。若党《わかたう》曾我《そが》と中間《ちゆうげん》木八《きはち》、吉助《きちすけ》とが背後《うしろ》に附き添ふ。次に相図《あひづ》の太鼓が行く。平八郎の手には高橋、堀井、安田、松本等の与党がゐる。次は渡辺、志村、近藤、深尾、父柏岡等|重立《おもだ》つた人々で、特《こと》に平八郎に親しい白井や橋本も此中にゐる。一同|着込帯刀《きごみたいたう》で、多くは手鑓《てやり》を持つ。押《おさ》へは大筒《おほづゝ》一|挺《ちやう》を挽《ひ》かせ、小筒持《こづゝもち》の雑人《ざふにん》二十人を随へた瀬田で、傍《そば》に若党|植松周次《うゑまつしうじ》、中間|浅佶《あさきち》が附いてゐる。
此《この》総人数《そうにんず》凡《およそ》百余人が屋敷に火を掛け、表側《おもてがは》の塀《へい》を押し倒して繰り出したのが、朝五つ時《どき》である
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