iルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]。そは何處《いづく》へ往くにか。われ。ヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]に往くなり。ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]。汝が漫遊の日程は、よも變更を容《ゆる》さぬにはあらざるべし。枉《ま》げて我言に從はずや。われはベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]にかく説き勸められて、反復しておのれのヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]に往かざるべからざるを辯じ、果は自らこの漫然口を衝いて發せし語の、實にその故あるが如きを覺ゆるに至りぬ。
われは客舍に返りて、不可思議なる力に役せらるゝものゝ如く、倉皇《さうくわう》我行李を整へ、あるじに明朝の發※[#「車+刃」、第4水準2−89−59]《はつじん》を告げたり。此夜は臥床《ふしど》に入れども、胸打ち騷ぎて熱を病むものゝ如く、眠をなさゞること久しかりき。翌朝ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]を訪ひて、我が爲めに善くその未來の妻に傳へんことを頼み聞え、忙はしく車を驅りてヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]に向ひぬ、二月前に去りしヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]に。
心疾身病
車はフジナ
前へ
次へ
全674ページ中659ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
森 鴎外 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング